化学療法部について
化学療法部・キャンサーボード部 部長 小松嘉人
当院の化学療法部(通称:外来治療センター)は、各科で決定された薬物療法レジメンを患者さんに安全かつ効果的に投与する専門部署です。この部門は、医師、化学療法認定看護師、認定薬剤師など、専門知識と技術を持つ専属スタッフで構成されており、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療を提供しています。限られたマンパワー・病床数にもかかわらず、年々利用患者数は増加しており、最近では看護師や薬剤師の努力により、年間12,000人を超える患者さんに治療を提供しています。
近年では最新の治験治療にも適宜対応し実施しています。また、設備面では、個室を含む11床のベッドとリクライニングシート12床を備え、全床に液晶テレビと読書灯を設置しています。車椅子に対応し広々としたオストメイト対応トイレも3か所設けています。治療中の快適性を重視し、BGMを流すとともに、雑誌やDVDプレーヤーの貸し出しも行っています。医療スタッフは「チーム医療」を常に意識し、患者さんが安全かつ快適に治療を受けられるよう努めています。治療は各科の外来診察後に開始され、薬剤の準備が整い次第、すぐに投与を開始します。治療中は、がん化学療法看護認定看護師を含む看護スタッフが定期的に観察を行い、薬剤アレルギーや血管外漏出などの有害事象の早期発見と対応をし、副作用の予防や日常生活上の注意点についての情報提供も積極的に行い、セルフケアの実践をサポートしています。さらに、当部門には当番医師が常駐しており(他施設では実現が困難な体制です)、薬物療法に伴う有害事象やアナフィラキシーショックなどの緊急時にも即時対応が可能であり、患者さんは安心して治療を受けることができます。
このように、当化学療法部における医療の質の高さと安全性は、患者さんから高い評価をいただいており、今後も患者さんが治療を通じて最良の結果を得られるよう、日々努力を重ねていく所存です。
外来治療センター
薬剤師は、主に2つの業務を行っています。
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抗がん薬無菌調製
抗がん薬の組み合わせや投与量が手順書(プロトコール)に沿っているか、患者さんひとりひとりの状態(当日の臨床検査値、体調等)にあっているかをお薬の調製前に確認します。
問題がなければ、安全キャビネットと呼ばれる清浄区域内で無菌的に薬剤を調製します。
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調製後の薬剤は、正しく調製が行われているかを調整システムを用いて確認し、異物や浮遊物がないかを確認します。
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服薬相談
がん患者さんを中心に、抗がん薬を代表とした薬全般の効果や副作用に関する説明を行っています。また、患者さんの希望に応じて、現在困っている症状について良い解決策がないか一緒に考え、より良い薬の使い方、新しい薬の処方を医師に提案しています。実際に薬を調剤する薬局にも必要な情報を提供し、患者さんの負担が少しでも軽くなるように工夫しています。