化学療法部・キャンサーボード部 部長 小松嘉人
国民の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで死亡する現在、当院では最新のエビデンスに基づいた最適ながん治療を提供するため、多職種連携によるキャンサーボードを組織化し重視しています。キャンサーボードとは、医師、看護師、薬剤師などの専門スタッフが集まり、患者さんの症状や情報を共有・検討して、最適な治療方針を決定するカンファレンスです。このボードは、癌種別に専門的な議論を行う領域・臓器別キャンサーボードだけでなく、治療が困難な多重がんや臓器横断的な問題を抱える症例に対しても対応可能な拡大キャンサーボードを実施も可能としています。
近年、がんゲノム医療の進歩により、固形がんだけでなく血液がんにもゲノム検査の適用範囲が広がりました。がん遺伝子パネル検査の結果から、がん細胞の遺伝子変異を特定し、これをターゲットとした治療薬の選択も可能になりました。このような情報を取り入れることにより、従来の標準的治療のみならず個別化された治療オプションが拡大し、治療成績の向上が期待されます。がん治療における情報量の増加と複雑性の高まりを受け、キャンサーボードは現代の医療における不可欠な機構となっています。キャンサーボード部では、各ボードの実施・運営をマネージメントし、患者さんが最適な治療方針を決定し、安心して最良の治療を受けることができるようサポートし、より良い未来へ一歩を踏み出せるよう支援しています。
領域名 |
キャンサーボード名 |
構成診療科(内容に応じて参加) |
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1ー1 |
肺縦隔腫瘍 | 肺縦隔腫瘍放射線治療キャンサーボード | 呼吸器内科、呼吸器外科、放射線治療科 |
1-2 |
肺縦隔腫瘍陽子線治療キャンサーボード | 呼吸器外科、呼吸器内科、放射線治療科 | |
1-3 |
肺縦隔キャンサーボード/呼吸疾患ボード, 胸部腫瘍キャンサーボード |
呼吸器外科、呼吸器内科、放射線治療科、(腫瘍内科) | |
2-1 | 肝臓腫瘍 | 肝癌キャンサーボード | 消化器外科Ⅰ、消化器内科、放射線治療科、放射線診断科 |
3-1 | 消化管腫瘍 | 消化管キャンサーボード | 消化器外科Ⅰ、消化器外科Ⅱ、消化器内科、腫瘍内科、放射線治療科 |
3-2 | 消化器放射線治療キャンサーボード | 放射線治療科、消化器内科 | |
3-3 | 消化管腫瘍陽子線治療キャンサーボード | 消化器外科1、消化器外科Ⅱ、消化器内科、腫瘍内科、放射線治療科 | |
4-1 | 胆道・膵臓腫瘍 | 胆膵キャンサーボード | 消化器外科Ⅱ、消化器内科、放射線診断科 |
5-1 | 婦人科腫瘍 | 婦人科腫瘍キャンサーボード | 婦人科、病理診断科、放射線診断科 |
6-1 | 小児腫瘍 | 小児脳腫瘍,陽子線治療キャンサーボード | 小児科、脳神経外科、放射線治療科、病理診断科、放射線診断科 |
6-2 | 小児固形腫瘍キャンサーボード | 小児科、消化器外科、脳神経外科、放射線治療科、病理診断科 (呼吸器外科、腫瘍内科、整形外科、泌尿器科、婦⼈科、⽿⿐咽喉科、形成外科) |
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7-1 |
頭頸部腫瘍 | 頭頸部癌キャンサーボード |
耳鼻咽喉科頭頸部外科、放射線治療科、腫瘍内科、放射線診断科、 口腔外科、口腔内科、歯科放射線科、形成外科 |
8-1 | 泌尿器腫瘍 | 泌尿器腫瘍陽子線治療キャンサーボード | 放射線治療科、泌尿器科、放射線診断科 |
9-1 | 乳腺腫瘍 | 乳腺外科放射線治療科キャンサーボード | 乳腺外科、放射線治療科 |
9-2 | 乳腺外科腫瘍内科キャンサーボード | 乳腺外科、腫瘍内科 | |
10-1 | 希少腫瘍 | 神経内分泌腫瘍(NET)キャンサーボード | 消化器外科Ⅱ、消化器外科Ⅰ、放射線治療科、消化器内科、核医学診療科、腫瘍内科 |
10-2 | 皮膚悪性腫瘍キャンサーボード | 形成外科、皮膚科 | |
11-1 | 骨軟部腫瘍 | 骨軟部腫瘍陽子線治療キャンサーボード | 腫瘍内科、整形外科、放射線治療科 |
12-1 | その他 |
転移性腫瘍陽子線治療キャンサーボード (肺・肝・リンパ節) |
消化器外科1、消化器外科2、呼吸器外科、泌尿器科、整形外科、呼吸器内科、消化器内科、血液内科、腫瘍内科、婦人科、乳腺外科、皮膚科、頭頸部外科、放射線治療科 |
12-2 | 悪性腫瘍放射線治療キャンサーボード | 放射線治療科、腫瘍内科 | |
12-3 | 転移性骨腫瘍キャンサーボード | 整形外科、放射線治療科、関係診療科 |